合成ゴム系シート防水
ゴムシート防水は、加硫ゴム系シート、非加硫ゴム系シートの二種類あり、合成ゴム(天然ゴムのようにゴム状弾性と強靭さ(きょうじんさ)を示す合成高分子物質)を主原料とし、シート状とした防水材の総称で、防水を必要とする部位を不透水性の膜で覆うのに使用する材料のことをいいます。下地の固定方法は、接着剤を用いた「接着工法」固定金具を用いた「機械固定工法」があり、シート相互間(シートとシートの間)の接合は溶着剤による「溶剤溶着」熱風により溶着させる「熱溶着」を行います。伸び性能に優れており通常1mm~2mmの厚さのものを一枚で防水層を構成します。加硫ゴム系シート、非加硫ゴム系シートの特徴、工法の特徴について説明します。
密着工法
接着工法とは、下地の状態を確認後、下地・シート裏に接着剤を塗布し、オープンタイムを確認後、下地にシートを張り付け、ローラーで転圧して張り付ける工法です。接着工法は下地に直接貼り付ける工法なので、工事費や、工期を短縮することが可能です。また、シート相互は接着または溶着で施工するため、接合強度が高いのが特徴です。合成ゴム系防水層は下地に対する追従性に優れています。
工法名 | 長所 | 短所 | 備考 |
---|---|---|---|
密着工法 | 補修が容易
安価。 段取りが容易。 補修が容易。
|
シート相互の接合部の水密性能の管理が難しい。
シール材に頼る納め方が多い。 下地の性能で防水層の性能が左右される。 保護仕上げ工法の確保が難しい。 鳥害が発生しやすい。 膨れが発生しやすい。 |
シート相互の接合部に欠損が起きやすい。 |
機械固定工法
機械固定工法とは、固定金具を用いてシートを下地に張り付ける工法です。平場を固定金具で固定で固定を行い、立上りは接着工法で施工します。または平場・立上り両方とも機械固定で施工します。一般的には立ち上がりは密着工法、平場は機械固定工法を採用します。機械固定工法の一番のメリットは下地の影響を受けにくいので、下地が濡れている状態でもふき取って施工することは可能です。しかし、固定金具に依存するので下地の強度がないと強風によなどによりビスが抜けシートが飛ばされてしまうので固定強度測定を行います。
工法名 | 長所 | 短所 | 備考 |
---|---|---|---|
通気緩衝工法 | 防水層の膨れを防止できる。
密着工法に比べ地震時の揺れによる防水層の破断は起こりにくい。 |
密着工法と比較すると費用は掛かる。 鳥害を受けやすい。 硬化養生中に埃や虫などが入りやすい。 |
シートに浮きがないか確認する。
シートに異物が入ってないか確認する。 シート相合は隙間に気をつける。 |
- 加硫ゴム系シート
- 合成ゴムを主原料とし、機械的強度の補強としてカーボンブラック(ゴム補強剤)、充填剤、軟化剤及び加硫剤(弾性限界を大きくするために、硫黄などを加えます。)を混合し加硫した防水シートのことを言います。このカーボンブラックはゴムタイヤなどの原料に使われています。加硫ゴム系シートはエチレンプロピレンゴム{EPDM(エチレンとプロピレンの共重合によって得られる合成ゴムの一種)}とブチルゴム{IIR(イソブチレンとのイソプレンとの共重合体)}を主原料としたのもが多く使われています。加硫ゴム系シートは主に露出防水として採用されています。
- 非加硫ゴム系シート
- 合成ゴムを主原料とし、機械的強度の補強としてカーボンブラック(ゴム補強剤)、充填剤、老化防止剤を配合した防水シートのことをいいます。非加硫の合成ゴムは、EPDMとIIRを配合したものが使われています。非加硫の場合、シートラップジョイント部分が同質一体化できるので、経年劣化によるラップのズレ・剥離がありません。