ウレタン系塗膜防水

ウレタンゴム系の防水材は湿気硬化形(1成分形)、反応形(2成分形)があります。また、塗布工法は「密着工法」「通気緩衝工法」「機械固定工法」の3種類あり、防水層の下地・既存防水層などにより選定します。ウレタン防水材の特性、工法の特徴について説明します。

密着工法

密着工法とは、下地の乾燥を確認後プライマー(下地と防水材の接着性を良くするために塗る接着剤のようなもの)を塗布後、乾燥を確認しウレタン系防水材を塗布し所定の厚さに仕上げる工法です。密着工法は下地に直接塗り付けるため、膨れが発生しやすいので注意が必要です。また、耐久性はトップコートに依存されやすく膜厚の管理も難しく検査方法も確立されていません。しかし、建物の複雑な形状・狭い所にも塗布することが可能で、補修が容易です。また、一回目のコストはかかりますが、二回目以降は塗り重ね工法といって、既存の防水層の上にウレタンを流す事が可能なので、下地の撤去費用が掛からないので二回目以降は施工費用を抑えることができます。

工法名 長所 短所 備考
密着工法 複雑な下地の形状の施工性がいい。

狭い所での施工も可能。

段取りが容易。

補修が容易。

 

 

 

気温や下地表面温度に左右されやすい。

膜厚管理が難しい

硬化養生中に埃や虫などが入りやすい。

工程ごとの硬化時間が必要。

耐久性はトップコートに依存されやすい。

密着工法では膨れが発生しやすい。

通気緩衝工法

通気緩衝工法とは、プライマー乾燥確認後、接着剤を塗布し、オープンタイムを確認して、通気緩衝シートを張り付けた後ウレタン系塗膜防水材を塗り付けて所定の厚さに仕上げる工法のことをいいます。

 

工法名 長所 短所 備考
通気緩衝工法 防水層の膨れを防止できる。

密着工法に比べ地震時の揺れによる防水層の破断は起こりにくい。

密着工法と比較すると費用は掛かる。
鳥害を受けやすい。
硬化養生中に埃や虫などが入りやすい。
シートに浮きがないか確認する。

シートに異物が入ってないか確認する。

シート相合は隙間に気をつける。

機械固定工法

機械固定工法とは、絶縁シートを固定金具で固定する工法のことをいいます。接着を使用せずに、固定金具で下地を固定するので下地の水分が外へ逃げるので水分を気にせず施工することが可能です。既存の防水層の上から施工できるので撤去費用は掛かりません。しかし、機械固定工法に共通することなのですが、固定金具に依存するので下地の強度がないと強風によなどによりビスが抜けシートが飛ばされてしまうので固定強度測定を行います。

工法名 長所 短所 備考
機械固定工法  下地に左右されにくい。
工期短縮できる。
撤去費用が掛からない。
硬化養生中に埃や虫などが入りやすい。

下地の強度に依存する。

固定強度測定を行う。
風力計算行う。

 

ウレタンゴム系防水材の特徴

  • 一成分形(一般に使用する材料は2成分形のものを使用します。)と二成分形があり、一成分形は主材と硬化剤があらかじめは配合せれているので撹拌することがなく、そのまま使用することができます。代表的なのは湿気硬化型といって、空気中の水分に反応して硬化します。また反応による発砲を生じさせないのでピンホールの発生を防ぎます。一方二成分形は二液反応硬化型といって主材と硬化材を配合して撹拌機で混合撹拌します。すると重合反応によって硬化します。気温が低い場合、重合反応が起きるまで時間が掛かってしまうので、硬化促進剤といって硬化を早める材料を使用します。この硬化促進剤は使用量に気を付けないとピンホールが出来やすいので注意が必要です。
1液湿気硬化型ウレタン防水材
主材であるイソシアネートと硬化材のポリオールを重合反応させて防水膜を作ります。イソシアネート基を持った化合物に空気中の水分(湿気)と反応して、硬化促進剤を入れ硬化させます。
二成分形ウレタン防水
主材はポリエーテルやポリエステルのポリオール類とポリイソシアネート化合物との重合反応によって末端にイソシアネート基を持ったプレポリマーに、硬化剤のポリアミンまたは、ポリオールを架橋剤としてイソシアネート基と反応して防水膜をつくるものです。イソシアネート基の特徴は、反応性に富んでいるため 加熱しなくても進行し、 一度反応すると非常に安定な構造をとるという特性があります。