アスファルト系防水

トーチ工法

トーチ工法とは、改質アスファルトルーフィングの裏面をガスバーナで加熱溶融して下地への接着、ジョイント(シートとシートの重なり部分)の接合を行う防水工法のことをいいます。段取りが容易で施工も改質アスファルトを加熱溶融して張り付けるだけの作業で容易に防水層を作ることができるが、加熱溶融不足による不具合が多く発生していることもあります。ガスバーナーの温度が1000℃以上あるためルーフィングに火を当てればすぐに溶融されると勘違いする可能性があるため職人一人一人が習得できるよう訓練する必要があります。

工法名 長所 短所 備考
トーチ工法 シートの種類、使用量が少なく段取りが容易。

異臭を発生させない(個人差あり)。

常温工法との併用ができる。

目視による品質管理が比較的容易。

既設防水の上から施工できる。

単層仕上げで工期が短縮できる。

熱工法に比べ軽装備化できる。

バーナーの加熱溶融不足による密着不良が発生しやすい。

バーナーの扱いが難しい。

凸下地による損傷。

施工品質は職人の技量に強く依存する。

冷工法

冷工法とは、ゴムアスファルト粘着層を裏面にコーティングした改質アスファルトルーフィングシート複数枚を交互に積層して張り合わせる工法のことをいいます。熱工法は近年市街地の施工が臭気などの公害問題や、火災、火傷の危険性があるため、アスファルト防水工が困難になりました。熱工法の信頼性を確保しつつ、火を使用しない防水工法が望まれ、冷工法が市場に誕生しました。しかし熱工法より、シート相互の水密性の管理が難しい事や気温や下地温度に施工品質が左右されやすいため、施工品質は職人の技量に左右されます。

工法名 長所 短所 備考
冷工法  作業安全性が高い。

熱工法・トーチ工法の併用が可能。

臭気、煙、騒音など周辺環境に影響がほとんどない

CO2の発生が少なく、環境にやさしい

信頼性の高い防水層を構築できる

シート相互の水密性の管理が難しい。

何層も貼り重ね積層していくため、重くなる。

気温や下地温度に施工品質が左右されやすい。

エアーが抜けにくい為、膨れやすい。

施工品質は職人の技量に強く依存する。

ルーフィングの特徴

  • アスファルトルーフィングとは合成繊維不織布や有機繊維原紙、ガラス繊維などを原料とした原紙にアスファルトを浸透・被覆して表裏面に鉱物質粉末を付着させたアスファルトと、原紙にアスファルトを浸透・被覆して表面に砂を密着させ裏面に鉱物質粉末を付着させた砂付きルーフィングがあります。
  • 改質アスファルトルーフィングはアスファルトに合成ゴム(エラストマー)や合成樹脂(プラストマー)を適量に添加してアスファルトの低温性や高温性、耐候性を改良した改質アスファルトにより製造されたルーフィングシートのことをいいます。
    代表的な改質材として、合成ゴム系では、熱可塑性ゴムSBS(スチレン・ブタジエン・スチレン)、合成樹脂系ではAPP(アタクチックポリプロピレン=非結晶ポリプロピレン)が使用されています。